超短編 『夢』 10
夢にでてやる
「夢に出てやる」
そう言い残して、アイツは落ちていった。
最期の言葉としては、あまり意味がないように思えた。
しかし、アイツは俺を見ながら言ったのだ。
たしかに恨まれても仕方がない事をしたのは事実だ。
俺はアイツの美人妻を奪い、マンションのベランダから落としたのだから。
落としたと言うのは少し違うかもしれない。
アイツが怒りのあまり俺に向かってきたから、脇へ避けただけだ。
アイツは勢いが良すぎて、ベランダから飛び出した。
わずかに手すりに手がかかったが、俺と目が合った後で落ちていったのだ。
そのときのアイツの目は、にらんでいたようでもあったが、助けを求めているようでもあった。
俺は助けようと思ったが、あまりに一瞬の出来事だったので、カラダが反応しなかった。
そのときのアイツは、時間がゆっくりと流れるように、もがきながら消えていった。
警察がきたが、事情を説明し、アイツの妻も俺の無実を訴えてくれた。
また、アルコールが検出されて、結局事故と言うことになった。
たしかに焼け酒を飲んでいたのは事実だ。
そんなことが有ったせいか、俺とアイツの妻とは直ぐに別れた。
そして丁度アイツの四十九日の夜、アイツが夢の中に出てきた。
そう言い残して、アイツは落ちていった。
最期の言葉としては、あまり意味がないように思えた。
しかし、アイツは俺を見ながら言ったのだ。
たしかに恨まれても仕方がない事をしたのは事実だ。
俺はアイツの美人妻を奪い、マンションのベランダから落としたのだから。
落としたと言うのは少し違うかもしれない。
アイツが怒りのあまり俺に向かってきたから、脇へ避けただけだ。
アイツは勢いが良すぎて、ベランダから飛び出した。
わずかに手すりに手がかかったが、俺と目が合った後で落ちていったのだ。
そのときのアイツの目は、にらんでいたようでもあったが、助けを求めているようでもあった。
俺は助けようと思ったが、あまりに一瞬の出来事だったので、カラダが反応しなかった。
そのときのアイツは、時間がゆっくりと流れるように、もがきながら消えていった。
警察がきたが、事情を説明し、アイツの妻も俺の無実を訴えてくれた。
また、アルコールが検出されて、結局事故と言うことになった。
たしかに焼け酒を飲んでいたのは事実だ。
そんなことが有ったせいか、俺とアイツの妻とは直ぐに別れた。
そして丁度アイツの四十九日の夜、アイツが夢の中に出てきた。