君へ



そんな新田先輩は――ー……



密かに私が心を寄せている人でもあった。





「沙耶?」




ハッ……


美香のか弱い声に我にかえり、パッと顔をあげると、心配そうにその大きいつぶらな瞳を揺らしているのが目に入った。



「あ……」



何やってるんだろあたし。


美香にこんな顔させるなんてどうかしてる。





「どうかしたの?」




「う、ううん。何でもないよ。
……そうなんだ。応援、するからね!」


「ほんと~?ありがとっ。沙耶ならそう言ってくれると思ったっ」




美香は、ニコッと満面の笑みを見せて八重歯を覗かせた。





だめだ。



こんなに純粋に、あたしの事を信頼してくれてる美香を裏切ることなんて絶対にできない。 無理だ。




どうしよう、



どうしよう、


――――どうしよう。




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