落ちこぼれの恋愛事情。
「あ、ズルいぜ兄貴!
マキさんはオレの後ろなんだっつの」
薙は猛反発する。
…なぜ、そんなにも僕とタンデムしたいのか。
大体、
薙の運転は荒っぽくて…
「あ、じゃあマキさんはオレと、ってコトで」
横からグイッと引っ張ったのは元弥。
ニッコリ笑って僕を後ろのシートに座らせようとする。
「オマエ達の運転は危なっかしいからダメだ。
マキ、俺のバイクを貸すよ」
名取が僕に言う。
…ん、でも?
「じゃあ名取は…」
「俺はマキの後ろに座る。
何か?」
…名取も名取だった。
「愛されてんなぁ、
真城?」
奏さんがカラカラと笑う。
「からかわないでくださいよ。
…っと、あれは……」
奏さんを軽くあしらってから、
ふと左前方に見知った人物がいるのに気づく。