揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「悪いけど、俺と篠原さんの話だから」


だけど、雅志の事を他の奴にまで話すわけにはいかなくて。

それだけ言うと、さっき行こうとしていた金堂の方に俺は足を向かわせた。


「あっ、大翔っっ」


慌てて、雅志が後を追いかけて来る。

少し進んだ所で、俺は歩みを止めた。


「その…悪かったな、誤解して」


すまなそうな顔で、雅志が頭を下げてくる。


「いいよ。俺の方こそ、紛らわしい事してごめん」


俺も、アイツに向かって頭を少し下げた。

確かに、誰かが由佳にあんな事してたら…俺もカッとくるに違いないし。


「もしさ、篠原さんからOKもらえなくても、正直に言ってくれよ?」


「分かってる。ちゃんと、彼女の気持ちを正直に伝えるよ」


「……やっぱ、大翔に頼んで良かったよ」


そう言って笑顔を向けてくる雅志の姿に、俺は何だか胸が痛くなってきた。


もし、篠原さんに他に好きな奴がいたら……?

やっぱり、雅志は落ち込んでしまうだろうし。


友達の落ち込む姿は、できれば見たくないな。
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