揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「つき合ってる奴、いる?」


もう一度、俺は質問を繰り返した。


彼女はポカンと少し口を開けたまま、とりあえず首を横に振っている。


「そっか。じゃあ、好きな奴は?」


横に振られていた彼女の頭が、ピタッと止まった。

何か言いたげな顔で、じっと俺を見上げてくる。


好きな奴がいるのなら、俺はそいつの名前を聞き出さなくちゃいけないわけで。

とりあえず、彼女の反応をじっと窺っていた。


「い、いる……」


躊躇いがちにそう答える彼女に、俺は質問を続ける。

どうか、その答えが雅志でありますように、と祈りながら。


「誰?篠原さんの好きな奴って」


「えっ?」


「篠原さんの好きな奴、教えてもらってもいい?」


気持ちを窺うように、俺は彼女の双眸を真っ直ぐに捕えた。


彼女の好きな奴が、一体誰なのか。

その答えによって、雅志のこれからが大きく変わってくるだろうし。
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