揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「神崎君には、水沢さんがいたから……。だから、諦めようとしてたの。でも、別れたんだよね?今は彼女いないんだよね?」


篠原さんのその言葉に、俺はやっと我に返る事ができた。


何で黙り込んでるんだよ、俺?

ちゃんと、由佳の事を伝えなきゃいけないだろ?


それに…雅志の事も。


「悪いけど、彼女いるんだ。すっげぇ好きな人が。だから…ごめん」


彼女の顔を見ると、それだけ伝えるのも凄く辛くて。

申し訳なさから、頭を下げた。


「じゃ、じゃあ、何でこんな事訊くの?何で、呼び出しておいてそんな事言うのっ?」


若干震え気味な声が、頭の上を通って行く。

今更ながらに、俺は自分の軽はずみな行動を悔いた。


冷静に考えたら、俺が篠原さんを好きで呼び出したって誤解されても仕方がないんだって。


そう…気付いたんだ。


「頼まれたんだ。雅志…野島雅志に、篠原さんの事を好きだって伝えて欲しいって」


頭を上げた俺は、ありのままを正直に伝えた。

彼女が戸惑っているのが、一目見てすぐに分かる。


きっと彼女にしたら、予想だにしなかった事なんだろう。
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