揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「神崎、話聞かせてくれないか?どうして、2人がこうなったのか」


鈴木先生に言われ、体を起こそうと手を着いた時だった。


「いっっっ!」


左手首に激痛が走り、起こしかけた体がまたベッドへと倒れ込んだ。

頭の痛みなんか比じゃないぐらいで、情けないけど涙が出そうになる。


「左の手首にヒビが入ってるそうだ。一通りレントゲンを撮ってもらっていて、見つかってるのはそこだけらしいんだが」


「ヒビ……?」


痛みの残る左手首に目をやると、包帯がぐるぐる巻きにされている。

上からそっと触ってみると、何かで固められているような感触があった。


「寝たままでいいから。骨までいってないにしても、打撲は何箇所かあるはずだから」


確かに、さっき起き上った時に背中や腕にも痛みはあった。

足も打っているかもしれない。


咄嗟に頭を過ぎったのは、明後日の試合だ。

この間の市の大会で優勝した俺達は、明後日から始まる県大会のトーナメント戦に参加する。


そこで優勝して、全国大会に行くのが目標だったのに……。
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