揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
その時だった。


「千花っ、千花っ!?」


右隣のベッドの方から、女性の声が聞こえてきた。


視線を向けると。

篠原さんのお母さんが、ベッドの上の娘の手を懸命に握っている。


「篠原さんっ?」


先生は、慌てて彼女のペッドに駆け寄って行った。


「気がついたのねっ、千花!」


彼女のお母さんの、安堵の声が聞こえてくる。


意識が戻ったんだ……。


とりあえず、ほっとした。

だけど、俺みたいにどこかケガをしているかもしれない。


心配になって、ゆっくり体を起しかけた時の事だった。


「誰……?」


不安そうな、か細い篠原さんの声が聞こえてきて。

一瞬、場の空気が静まり返った。


「誰…なの?」


繰り返される、彼女の言葉。

困惑したような、怯えているような。


そんな…声だった。

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