揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「大翔……?」


そう俺を呼んだのは、梨香ではなく別の声。

初めて…その声で名前を呼ばれた気がする。


「大翔っ」


そう俺を呼びながら、彼女は慌ててベッドから起き上がった。

懐かしいモノを見るような表情を浮かべて、篠原さんが俺をじっと見てくる。


「怖かった……」


そう言ったかと思ったら、彼女は真っ直ぐ俺の所に向かって来て。

そのまま…抱きつかれてしまった。


「篠原さん……?」


何が何だか、よく分からなくて。

抱きつかれたまま、俺は動けなかった。


「良かった、大翔がいてくれて」


ほっとしたような、その声。

俺の左肩に顔を埋めたまま、彼女も動かない。


今の彼女には…誰も何も声を掛けられなかった。
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