揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「お母さん、このハンバーグすっごくおいしいね!」


ふいに、隣のテーブルの声が聞こえてきた。


目を向けると。

幼稚園ぐらいの男の子が、満面の笑みでお子様ランチのハンバーグを食べていて。


向かいに座るお母さんは、優しい笑顔を浮かべながら。

息子の口の周りに付いたデミグラスソースを、ナフキンで拭き取ってやっていた。


そんな、どこにでもありそうな親子の風景。


気が付いたら、すごく切なそうにそれを見ている大翔君がいて。

しばらく…声が掛けれなかった。


「お待たせ致しました、魚介のドリアになります」


料理を運んで来た店員さんの声に我に返ると、大翔君もいつの間にか視線を戻していた。

彼の前にドリアを置き、


「カルボナーラになります」


と言って、店員さんは私の前にパスタを置いてくれた。


「ごゆっくりどうぞ」


頭を下げて去って行った店員さんの言葉を機に、私はフォークとスプーンを手に取っていた。


「俺さ……」


ドリアをスプーンでつつきながら、思いつめたように彼がそう口を開いたので。

パスタをフォークに絡めながら、私が次の言葉を待っていると……。


「早く、由佳の子供が欲しい」


と、爆弾発言をかましてきた。
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