揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「もう由佳のトコに来ないように、ちゃんと言っといてよ」


「言う事きくか分かんねぇけど、一応言っとくよ。……っていうかさ、俺も今日話あんだよ」


そう言うアイツの顔は、何だかちょっと渋くて。

咄嗟に、いい話ではない事を感じ取った。


「何……?」


尋ねる声が、微妙に震えてしまう。


「……弘登先輩の話」


嫌な予感は的中した。


昨日、私は約束を断って帰ってしまったから。

その事を先輩が怒ってるんじゃないかって、ちょっと心配してたんだ。


「今度はソイツの話!?」


何故だか、沙希は先輩を目の敵にしているようで。

再び、彼女の顔が険しくなっている。


「……マジで怖ぇから、沙希のその顔。まぁ、確かにあんまいい話じゃねぇけど」


そう言ったかと思うと、諒斗は鞄のチャックを開けて何やらゴソゴソと探し始めた。

私と沙希は黙ったまま、何が出てくるのかと待っている。


「はい、これ。先輩から、由佳に渡すように預かったから」


そう言って諒斗が差し出したのは、何やら白い紙切れで。

メモ用紙といった感じの紙が、半分に折られている。
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