揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「あ、ありがと……」


差し出された紙を反射的に受け取ると、私はゆっくりと中を開いた。


そこには、ちょっと癖のある字で書かれた『小島弘登』という名前と携帯の番号。

そして、携帯のアドレスが書かれている。


「え……?」


受け取ったものの、意味がよく分からない。


「連絡して欲しいってさ」


「ちょっ、何こんなモノ受け取ってきてんのよっ」


私の手元を覗きこんでいた沙希が、パッと紙を奪い去り。

慌てて諒斗に突き返した。


返された諒斗も、よく見ると何だか困った顔をしていたりする。


「やっぱさ、先輩には逆らえねぇんだよ。とりあえず渡すけど、連絡するかしないかは由佳に任せるから」


「でも、私が連絡しないと諒斗が困るんじゃないの?」


「ちょっ、由佳も何言ってんの!?そんな事、あんたが気にしなくていいんだってばっ!」


慌てて、沙希が私の肩を掴んで揺さぶってくる。


沙希の気持ちも分かるんだけど。

私が昨日断ってなかったら、諒斗もこんな役しなくて良かったんだろうし。


とりあえずメールして済む話なら、してもいいかな?って思うんだけど……。
< 121 / 337 >

この作品をシェア

pagetop