揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「とりあえず、昨日バスケ部に行けなかった事ちゃんと謝っときたいし。メールだけしてみるよ」


諒斗の手の中にある白い紙を取り上げ、私はそのままスカートのポケットに押し込んだ。


「メアドなんか教えちゃったら、アイツがまた図に乗るだけじゃんっ」


「図に乗るって……。とりあえず、何か用があるのかもしれないし。打つだけ打ってみるよ」


「ほんっと、お人よしなんだからっ」


そう言って頬を膨らませたまま、沙希は前を向いてしまった。


沙希の気持ちは、痛いほど分かる。


私の事をいつも心配してくれて。

本気で、泣いたり怒ったりしてくれるんだ。


申し訳なさで、やっぱり胸が少し痛む。


「マジで、俺の事は気にすんなよ?」


隣から聞こえてくる、気遣うような声。

真顔で見てくる諒斗に、私は笑顔を作って親指を立てて見せた。


メールをして、昨日の事を謝るだけ。

それだけだから、大丈夫。


まるで、自分に言い聞かせるかのように。

私は心の中でそう繰り返した。
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