揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
学校からの帰り道。


いつもより早く帰路についた私は。

昨日見れなかった事を思い出して、小学校の校庭の横で足を止めた。


昨日は、沙希と公園で話した後に雑貨屋さん巡りをしていたから。

ここを通る頃には、野球部の練習は終わってしまっていたんだ。


あ、やってるっ。


大翔君とつき合いだしてからも、私はここを通るたびにグランドを覗いている。

……もとい、見学している。


でも、それを大翔君は知らない。

だってもし知ったら、変に意識しちゃって練習に専念できないかもしれないし。


練習の邪魔だけは、したくないから。

いつもここで、こうしてこっそり見学している。


「あっ」


4つのベースに何人かずつ選手が別れ、塁間でボール回しをしていた時だった。


サードにいた子の送球が大きく逸れ。

そのボールが、セカンドベースにいた大翔君の頭上を遥かに越えてしまった。


もちろん、そのボールを取りに行くのは大翔君の役目で。


ボールが転がった先。

つまり私のいる方に向かって、彼はボールを追って走って来る。
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