揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
勢いの付いたボールは、結構なスピードで私のすぐ目の前まで転がって来て。

見つかったらヤバイと思い、慌てて少し離れた所へ場所を移動した。


土曜日に別れてから、初めて彼に会えるというのに。

私の心は疚しさで一杯で。


こんな所から、こっそりのぞ…見学していた事。

金曜日に連絡するって言われたのに、火曜日に会ってしまうという事。


だから…絶対に見つかりたくなかったんだ。



ザッザッ


スパイクが地面を蹴る音が近づいて来る。

あんなに離れていたのに、彼はいつの間にかすぐそこまで迫って来ていた。


やっぱり、足…速いんだね。


息を潜め、フェンス越しに木の陰に身を隠しつつ。

私はそんな事を考えていた。


ここから彼の姿は見えないけれど。

彼の足音が、息遣いが、すぐそばにいるんだって事を知らせてくれる。


近づいて来た足音が、ほんの目と鼻の先で止まってしまい。

私の心臓は、かなり激しく脈打ち始めた。


大翔君が、すぐそこにいる。


もし、ここで私を見つけたら。

彼は…一体どうするだろうか?


怒るかな?笑うかな?


きっと…困った顔をしてしまうんだろうね。
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