揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
そして、問題の放課後。


今日は、やっぱり一日中授業に身が入らなかった。

どうしても、大翔君と彼のお母さんの事ばかり考えてしまっていて。


時間が経つにつれて、私の胃も胸もチクチクと痛みを増していき。

お母さんの話が何なのか気になりつつ、会うのがとても怖かった。







地元の駅の改札をくぐったのが、3時50分。


ここから≪ラ・マンドール≫までは、歩いて3~4分。

そこは高級なケーキ屋さんって感じで、前からちょっと憧れていたお店。


だけど、向かう私の足取りはどうにも重たくて。


お店の前に着いたものの、高級感漂う外観にドキドキしてしまい、なかなか入れずにいた。

いかにもセレブ御用達といった感じで、とても私なんかが入る様なお店じゃないし。


それに…この扉の向こうに大翔君のお母さんがいるかと思うと、どうにも足が進まない。


だけど、ここにずっといるわけにもいかないし。

勇気を出して、私は自動扉を開けた。


「いらっしゃいませ。お客様は、おひとり様でよろしかったでしょうか?」


品の良さそうな、タキシードに身を包んだウェイターさんが私に近付いて来た。

お店の雰囲気によく似合う、30代前半といった感じのイケメン紳士。


「いえ、待ち合わせで……」


「あぁ。神崎様のお連れ様ですね?」


彼の表情が和らぐ。

大翔君のお母さんは、もしかしたら常連なのかもしれない。


紳士さんは、そのまま私を店の奥の方へと案内してくれた。
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