揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「ごめんなさいね、急に呼び出したりして」


案内された先のテーブルには、既に大翔君のお母さんの姿があった。

こんなセレブなお店が似合ってしまう、気品と美貌を兼ね備えている。


「いえ……」


反対に、制服姿の私はかなり浮いてる気がして。

何だか無性に、居心地が悪かった。


「私はチョコレートケーキのセットをエスプレッソで頼んだけど、吉野さんも良かったら何か頼んで?」


お母さんの向かい側に腰を下ろし、差し出されたメニューを受け取った。

そこに並べられた数字を見て、また心臓が激しく動き出す。


め、めちゃくちゃ高いっっっ。

何で、ケーキセットが1500円もするのっ?

十分ランチが食べられる金額なんですけどっっっっ!!


心の中でそう叫びつつ、表面上では平然を装っていた。


だって、こんな事で動揺なんかしてたら。

お母さんにますます嫌われてしまう気がして。


『価値観の相違』・『生活レベルの違い』・『格差恋愛』


そんな言葉が、私の頭の中でグルグルしている。


「私が誘ったんだから、金額は気にしないで好きなのを頼んで。お金は私が払うから」


「いえっ、自分で払いますっっ」


ごちそうになるわけには、いかないし。

私は、慌てて両手を横に振った。
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