揺れる想い～年下彼氏は小学生～㊦
「大翔君ぐらいの年なら、弟や妹が欲しいって言うんじゃないの？」


「そうかな？」


彼は熱いドリアに息を吹きかけながら、そう答えた。


「そうだよ。ほら、お母さんすごい若そうだし、頼んでみたら？」


大翔君のお母さんとは、今までに２回会っている。

すっごく綺麗で、若い感じの人。


あんなお母さんだったら、私なら自慢しちゃうな。


そんな事を…考えていた時だった。


「無理だよ。父さん、死んでるから」


「……えっ？」


あまりにもあっさりと言われ、一瞬聞き間違いかと思ってしまった。


「俺の父さん、去年交通事故で死んだから。だから、弟や妹は無理だよ」


さらりと言ってのけ、何事もなかったかのように彼はドリアを口に運んでいく。


私はというと、初めて知った彼の家族の話にただただ驚いていて。

どう声をかけていいものか分からずに、黙ったままじっと彼の事を見ていた。


お父さんがいないだなんて、今まで聞いた事が無かった。

克也も、そんな事言ってなかったし。


だから…こんなにしっかりしてるの？

父親がいない分、自分がお母さんを助けていかないとって思ってるのかな？


そう考えると、目の前で黙々とドリアを食べている少年がすごく不憫に思えてしまって。


彼の力になりたいって、強く思えてきたんだ。
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