揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「そう。本命の彼女がいるのがバレないように、梨香ちゃんとつき合ってたの」


「本命の彼女……?」


「大翔はね、梨香ちゃんの事は別に好きじゃなかったのよ。そして…あなたの事もね」


真っ直ぐな視線に捕えられ、一瞬金縛りにあったような感覚に陥った。

体が、なんだか思うように動いてくれない。


そして、動かないのは体だけじゃない。

頭の中も、何だかごちゃごちゃしていてはっきりしない。


大翔君のお母さんが言うには、彼は別に水沢の事が好きだったわけじゃなくて。

本命の彼女の存在を隠す為に、カムフラージュとして利用していただけ。


そして、それは私も……?


「最近、梨香ちゃんといるのに疲れたみたい。そんな時にあなたと出会って、今度はあなたをその相手に選んだのよ」


私も、本命の彼女の隠れ蓑にされてるって事……?


「お待たせいたしました」


緊迫した空気を割って入って来たのは、さっきの紳士さん。

ケーキと飲み物をそれぞれの前に静かに並べると、一礼してまた去って行った。
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