揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「別に、大翔と別れて欲しいって言ってるわけじゃないのよ?」


向かい合わせのソファに座る、私と彼のお母さん。

真ん中に置かれた高そうなガラステーブルには、2人分のホットコーヒーが置かれている。


カップから立ち上る湯気に視線を向けながら、私は頭の隅の方でその言葉を聞いていた。


こんな思いをするなら…いっそのこと、反対されてる方がマシだった。


大翔君に愛されてない私は、彼にとってはただの都合のいい女でしかなくて。

お母さんもそれを分かってて、私に別れを強要しないんだろう。


「誰…なんですか?大翔君の好きな人は」


正直、訊くのが怖かった。

相手が誰であれ、私じゃない名前が出る事を考えるだけで息が苦しくなる。


「聞かない方がいいと思うけど?」


コーヒーカップを手に取りながら、彼女は余裕な表情で私を見つめる。


「お願いします、教えて下さい」


大翔君に訊いて、本当の事を教えてもらえるかは分からないから。

だから、お母さんの口から聞いておきたいんだ。


彼が、本当に愛してるっていう人の名を……。
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