揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「あの子が3年生の時に、私は戸籍上の母親になったの。だけど、私は息子だなんて思ってない。日に日に成長していくあの子に、私は恋しているのよ」


「そんなのっ……」


『そんなの、おかしい』

そう言おうとして、私は言葉を止めた。


小学生と真剣につき合っている私に、彼女を責める資格なんて無いような気がしてしまったから。


「おかしいのは、重々承知の上よ。だけど、別に血も繋がってないし、好きになるのに年とか関係ないでしょ?あなたなら、よく分かってくれるわよね?」


肯定しない代わりに、否定もできなかった。


好きになるのに、年なんか関係ない。

それは、私もよく分かってる。


でも、親子なんだよね?

血は繋がってなくても、れっきとした親子なんだよね……?


「去年…大翔が5年生になってすぐに、あの子の父親が交通事故に遭って。それからは、私と大翔の2人きりになったんだけど、私達の関係が始まったのはその頃なの。あの子は本当のお母さんの事が好きだったから、私の事はずっと母親とは見てなかったって。1人の女として…見てたんだって」


そう語った後。

彼女の口角がクッと上がったのを、私は見逃さなかった。


美しい彼女の顔が、勝ち誇ったような笑顔に変わっていく。
< 147 / 337 >

この作品をシェア

pagetop