揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「ホントは人に見せるような物じゃないんだけど、あなたが信じてくれないんだから仕方ないわね」


そう言って、彼のお母さんは画面を見ながらビデオを操作し始めた。


そんな彼女を、私は黙ったままじっと見ている。

その画面に映し出されるのがどんな光景なのか、いろいろと自分なりに推測しながら。


2人でどこかに行った時の、記念のビデオとか……?

デートスポットみたいな所とか。


それとも、2人がキス…とかしちゃってるのが映ってるの?


何にせよ、私にとって気分のいいビデオでないことは間違いなさそうで。


「もうすぐ始まるから」


そう言って、お母さんは私にビデオカメラを差し出してきて。

とりあえず頭を軽く下げ、私は落とさないように両手で受け取った。


画面を見ると、電源は入っているものの何だか暗くて。

どこの場所で、誰がいるのかもよく分からない。


ビデオが調子悪そうだと、彼女に伝えようとした時だった。


『遅くなってごめん、まどかさん』


画面から…聞き覚えのある声が聞こえてきた。

私の胸をいつもキュンとさせてくれる彼の声が、私じゃない名前を呼んでいる。


画面に目を向けるものの、ホントに薄暗くて。

大翔君がどこに映っているのかも、よく分からない。
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