揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「そんな奴…やめとけよ」


その言葉と共に、ふわっと顔に風を感じて。

さっきまで頭にあった先輩のぬくもりが、いつの間にか私の全部を包んでいた。


「俺は、好きな女を絶対泣かせない。だから、そんな奴やめて俺にしなよ?」


耳元で優しく囁かれる、先輩の声。


その言葉が。

この、ぬくもりが。


ギリギリだった私の心を、惑わせてくる。

辛い現実から目を逸らせと、私を甘く誘う。


「だめ……」


力無く拒絶すると、私を抱きしめる腕に力が入った。

もっと彼のぬくもりを感じ、彼の早く脈打つ鼓動を感じる。


私が好きなのは、大翔君だから。

他の人とこんな事してちゃいけないのに……。


そう分かっているのに、拒めなかった。


力で負けるとかじゃなくて。

自分を包んでくれるこのぬくもりを、私は心のどこかで求めていたんだ。
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