揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「辛いと思う。先輩がいてくれなかったら、どうなってたか分からないし」


ボロボロになりかけていた私の心を支えてくれたのは、彼の代わりに抱きしめてくれた先輩だった。

彼から愛を与えてもらえない代わりに、先輩を彼の身代わりとして愛してもらおうとした私。


「よっぽどイイ男なんだな?そっちの≪ひろと君≫は」


そう言って微笑む先輩は、また優しく私の頭を撫でてくれた。


大きくて温かい彼の手は、こんな私の事を許してくれているかのようで。

撫でられる度に、胸が苦しくなる。


「ホントに…イイ男なの。忘れる事ができないぐらい、最高にイイ男」


こんな私を助けてくれた先輩の為にも。

私は、ちゃんと大翔君を好きでいなくちゃ。


たとえ彼がまどかさんを愛していたって、私は変わらずに彼を愛していく。

それが、どんなに愚かなことでも構わない。


だって私の心と身体は、大翔君だけを求めてるから。


「……俺も昔さ、めっちゃ好きだった女がいたんだよ」


私から手を離した先輩は、ゆっくりと身体を起こした。


「年の離れた兄貴の、恋人だった人。すっげぇ綺麗でさ、会ったその日に惚れてたんだ」


話しながら、先輩は私に布団を掛けてくれて。

自分は、床に落ちていたバスローブに再び身を包んでいた。
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