揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「まぁ、小学生だって男なわけだしな。イマドキ、珍しくないと思うぜ」


「そんなもんなのかなぁ?」


イマイチ納得いかないって感じの沙希をよそに、諒斗は私の方に視線を向けてきた。


「で?だからって、どうして弘登先輩が出てくんだよ?」


言われて、元々の話の発端を思い出した。

諒斗が、最初に私に尋ねてきた事を。


「えっ?何よ、それ?」


先輩との事を知らない沙希は、意味が分からないといった様子で。

怪訝そうに、私の方をじっと見ている。


「ホントはね…沙希に、電話したの」


「えっ?いつ?昨日の夕方のやつ?」


バイト中だった沙希は、夜になって≪電話、何だった?≫というメールを送って来てくれて。

嬉しかったものの、私は≪ごめん、別に大したことじゃなかったから≫と誤魔化して返信したんだ。


「うん……。バイトだって気付いたから、私は他に話を聞いてくれる人を探してたの。それで真吾にかけようとしたら、間違えちゃって……」


「弘登先輩にかけたって訳か」


私の代わりに言葉を続けた諒斗に、【正解】という意味を込めて頷き返した。


呆れたように見てくる諒斗と、何やら渋い顔をしている沙希。

しばらく…変な沈黙が流れてしまった。
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