揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「悪い事ばっかしてる奴らだったけど、家にいるよりはよっほどマシだったし。ヤケになってた私はさ、仲間の一人の友達って人に、会ったその日に…抱かれたんだ」


聞いてる内に、だんだんと胸騒ぎがしてきた。

沙希が今こうして語っている辛い過去に、もしかしたら大切な何かがある気がして。


「初めてだったけど、別にどうでも良かったんだ。その時の私を愛してくれれば」


そう言ってから、沙希は私の方に身体を向けてきた。

淋しそうな眼差しが、真っ直ぐに私に向けられている。


「気付いてると思うけどさ、そん時の相手が…弘登先輩だよ」


「……」


どう答えていのか分からなくて、私はただじっと彼女を見返していた。


沙希の初めての相手が、弘登先輩。

中1の時だから、4年前の話って事になる。


「つき合ってた…のか?」


尋ねる諒斗に、沙希は首を横に振って答えた。


「アイツとは、その日限りだったよ。ホント言うと、名前すら知らなかったし。それに、向こうもかなり遊んでたからね。お互い割り切ってたんだ」


「先輩は…分かってるの?沙希がその時の子だって」


やっと口にできた言葉。
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