揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「そんなの覚えてるわけないじゃんっ。4年も前の話だし、会ったのもそれ一度きりだし」


「でもっ、沙希は覚えてたんでしょ?だったら、先輩だって……」


「言ったでしょ?アイツはかなり遊んでたって。私はそれが初めてだったから、憶えてただけ。まぁ、今の私には純平がいるから、変に覚えられてても困るんだけどさ」


私の言葉を遮った沙希は、終始笑顔だった。

本当に、過去の事は引きずってないって感じで。


「別に、私の事を責任とって欲しいとか思ってる訳じゃないから。ただ、由佳にまで単なる遊びで手を出して欲しくなかったの」


だから沙希は、先輩の事をあそこまで否定していたんだ。


私の事を…心配してくれて。


「で?弘登先輩と何かあったの?」


「あったというか、無いというか……。でも、最後まではシてないからっ」


そこのトコロは、ちゃんと念を押しておいた。

往生際が悪い気もするけど……。


「相変わらず、手が早いんだからっ。純平は軽くないって言ってたけど、十分軽いじゃん」


沙希の言葉で、スタバでの弘登先輩と純平君のやりとりを思い出した。


中学の同級生だった2人。

純平君は、私達の知らない先輩をきっと知ってるんだろうな。


「あっ」


思わず、口からそう漏れていた。

慌てて2人を見ると、何事かとじっとこっちを見ている。
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