揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「そういえば、先輩の昔の話…聞いたんだった」


呟くように言った言葉に、沙希が反応を示した。


「何よ?昔の話って」


「先輩、昔凄く好きだった人がいたんだって。お兄さんの彼女だったらしいんだけど……」


本当は、私がこんな風に話していい事じゃないのかもしれない。


だけどこのままじゃ、先輩は単なる軽い男で終わっちゃうから。

せめて、本当の事を2人にも知っておいてもらいたかったんだ。


「そのお兄さんの彼女に、弄ばれたみたいなの。お兄さんと先輩と二股掛けておいて、別の本命の方に行ってしまったんだって」


私の話を聞いて、2人は驚いた顔をしていた。


確かに、そうかもしれない。

だって、女を弄んでる先輩がそんな目に遭ってただなんて、きっと誰も思わないよ。


「そのせいで、女の人を信じられなくなったみたい。だから、ナンパしたり友達の彼女盗ったりしたって……」


沙希と…目が合った。


きっと、彼女も気付いてるはず。

自分もその中の1人だったんだって事を。
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