揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「ちゃんとさ、話してごらんよ?2人できちんとさ」


そう言って携帯を差し出してくる沙希は、優しい笑顔になっていた。

頬杖をついている諒斗も、笑顔を浮かべて頷いている。


「うん…分かった」


携帯を受け取り、私も頷き返す。

そのままメール画面を終わらせ、通常の待ち受け画面へと戻した。


「返信、しないの?」


鞄に携帯をしまう私に、沙希が不思議そうに尋ねてくる。


「今のまんまじゃ、何て打っていいのか分かんないし。明日、また連絡くれると思うから……」


そう言いつつ、このまま返信しなかったらどうなるんだろう?という思いはあった。

心配してメールをまたくれるだろうか?


それとも…明日のメールすら、してくれなくなるだろうか?


「何かあったら、今度は弘登先輩じゃなくて俺らに言えよ?」


「……ありがと、諒斗」


2人の優しさが、本当に嬉しかった。


崩れそうになった心を支えてくれたのが弘登先輩なら。

それを立ち直らせてくれたのは…沙希と諒斗だと思う。


「このケダモノに2人きりで相談なんかしたら、それこそまた襲われちゃうからさ。言うのは私だけでいいからねっ」


本人に聞こえるぐらいの大きさで、沙希は私に耳打ちしてきた。

チラチラと諒斗を見て、反応を楽しんでるのが分かる。


「ばっ…だ、誰が襲うかよっっ。俺らはもう友達だよな?なっ?」


慌てて助けを求めてくる諒斗がおかしくて、思わず笑ってしまった。

何気に、顔もほんのり赤いし。
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