揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「大翔?」


彼の家の方角から聞こえた、女性の声。

そっちに目を向けると…大翔君のお母さんの姿があった。


「……!」


その姿を見つけた彼は、いきなり乱暴に私の手を振り払ってきた。


えっ……?


さっきまでとは、明らかに違う態度。

そのまま彼は何も言わずに、お母さんの方へと歩いて行ってしまって。


「どこ行くの?」


まるで私なんていないかのように、彼は普通にお母さんに話しかけている。

その後ろ姿が、何だかひどく私を物悲しくさせた。


大翔君……?


「ちょっとコンビニにね。それより……」


息子に優しい笑顔を向けた後、彼のお母さんは私の方へと視線を移してきた。

若くて美しい彼女は、どこか不安げにじっと私を見つめている。


「あぁ、前に会ったよね?克也の姉さん。バッタリ会ったから、話してたんだ」


そして、しれっと嘘をつく大翔君。

私との仲は、お母さんに話してないって事なんだろうか?


いや、もしかしたら…知られたくないのかもしれない。
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