揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「とりあえず、退院の許可は下りたから。悪いけど、先に返るよ」


「そっか……。大翔がいないと不安だな。だって、私のコトを娘って言ってるけど…私はあの人達の事なんて知らないし」


彼女の両親は、さっき医者に呼ばれてどこかに行っている。

寝る間も惜しんで付き添っていた両親は…篠原さんからしたら、ただの他人でしかないんだな。


「大丈夫だよ。そのうちきっと、思い出すから」


早く…記憶を取り戻して欲しい。

じゃないと、由佳にまた心配掛ける事になってしまうから。


由佳の事だから、『私はいいから、彼女に付いててあげて』とか言いかねないし。


「電話…してもいい?」


「えっ?」


「不安なの。お願いっ」


「……分かった」


そして、差し出してきた彼女の携帯に自分の電話番号を打ち込み、電話帳に登録した。


つき合ってる割には、電話帳に登録されてないのっておかしいって思わないんだろうか?

なんて考えながら。


「後で電話するから、ちゃんと出てね?」


そう言って微笑む篠原さんは、何だかキャラまで変わってしまったようで。

改めて、大変な事が起きてるんだって思わされる。
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