揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
チャンス…かも。


すかさず、その携帯を拾い上げ。

念の為に中を開いた。


やっぱり、見覚えの無い携帯。

まどかさんのとも違うし、もちろん俺のでもない。


助かった……。


慌てて立ち上がり、俺は電話中のまどかさんにその携帯をひらひらと振って見せた。


「忘れ物、届けてくるからっ」


「えっ?あっ、ちょっとっ」


急いでリビングを出て行こうとする俺を引き止めようと、慌てて声を掛けて来たけれど。

彼女は鈴木先生と話をしているところだったから。


それ以上、俺を繋ぎとめる事は出来なかった。


玄関で靴を乱雑に履くと、俺は携帯を片手にドアを勢いよく開けた。

さすがにもう廊下には姿が無くて、急いでエレベーターに向かう。


表示を見ると、エレベーターは1階にいるようで。

篠原さんのお父さんが乗って行ったに違いなかった。


下へ降りる為にボタンを押し。

まどかさんが追って来てないかと、心配になって家の方を振り返った。


これを篠原さんのお父さんに届けたら…そのまま、駅に向かおう。

もしかしたら、由佳はもういないかもしれないけど。


それでも俺は、何としても由佳に会いたかった。

駅にいなければ、家に会いに行くぐらいのつもりでいた。


そのうち、エレベーターがここの階まで上がって来て。

俺は、開きかけた扉の中に慌てて飛び乗っていた。
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