揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
1階に着くと、走って入口の自動扉に向かった。
表に出て、どちらに行ったのかと辺りを見回してみる。
すると……。
駅に向かう方角に、篠原さんのお父さんらしき人物の後ろ姿を見つけた。
あれだっ。
ほぼ全力で追いかけ、俺はその背中に声を掛けた。
「篠原さんっ」
俺の呼びかけに、その背中はすぐに反応してくれた。
ピタッと足を止めると、何事かとこっちを振り返る。
「携帯、忘れてますよっ」
右手に握る黒いソレを掲げて見せると。
「あぁっ」と声を漏らして、篠原さんのお父さんはこっちに向かって歩みを進めてきた。
「ありがとうっ。わざわざ、申し訳なかったね」
すまなそうな顔をして、軽く頭を下げてくる。
「いえっ、出かけるついでだったんで」
頭を下げて礼を言いたいのは、こっちの方だった。
携帯を差し出すと、彼はすぐに受け取ってスーツのズボンへとしまった。
「実は、千花から君の話を聞いた時は…正直嫉妬してしまってね」
照れくさそうに、篠原さんのお父さんは頭を何度か掻いた。
「1人娘だから、父親としては可愛くて仕方ないんだ。でも、娘の人を見る目は確かだったみたいで、安心したよ。君なら、千花が好きになるのも分かるから」
そう言って俺の肩をポンッと叩くと、彼はまたゆっくりと歩き出して行き。
その後ろ姿を見送りながら、俺は…心の中で問いかけていた。
本当の俺を知っても…あなたはそうやって言ってくれるんですか?
母親を毎日の様に抱いている俺を知っても……、娘の人選を誉めてやれますか?
こんな俺を…認めてくれるんですか?
表に出て、どちらに行ったのかと辺りを見回してみる。
すると……。
駅に向かう方角に、篠原さんのお父さんらしき人物の後ろ姿を見つけた。
あれだっ。
ほぼ全力で追いかけ、俺はその背中に声を掛けた。
「篠原さんっ」
俺の呼びかけに、その背中はすぐに反応してくれた。
ピタッと足を止めると、何事かとこっちを振り返る。
「携帯、忘れてますよっ」
右手に握る黒いソレを掲げて見せると。
「あぁっ」と声を漏らして、篠原さんのお父さんはこっちに向かって歩みを進めてきた。
「ありがとうっ。わざわざ、申し訳なかったね」
すまなそうな顔をして、軽く頭を下げてくる。
「いえっ、出かけるついでだったんで」
頭を下げて礼を言いたいのは、こっちの方だった。
携帯を差し出すと、彼はすぐに受け取ってスーツのズボンへとしまった。
「実は、千花から君の話を聞いた時は…正直嫉妬してしまってね」
照れくさそうに、篠原さんのお父さんは頭を何度か掻いた。
「1人娘だから、父親としては可愛くて仕方ないんだ。でも、娘の人を見る目は確かだったみたいで、安心したよ。君なら、千花が好きになるのも分かるから」
そう言って俺の肩をポンッと叩くと、彼はまたゆっくりと歩き出して行き。
その後ろ姿を見送りながら、俺は…心の中で問いかけていた。
本当の俺を知っても…あなたはそうやって言ってくれるんですか?
母親を毎日の様に抱いている俺を知っても……、娘の人選を誉めてやれますか?
こんな俺を…認めてくれるんですか?