揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
家に帰ってからも、何だかモヤモヤした気分が晴れずにいた。

私の手をあんなに勢いよく振り払ったのが、一体どうしてなのかが気になって仕方ない。


お母さんに見られたら、マズイっていう事?

でも、何で?


恥ずかしいから?

それとも、何か別に理由があるの……?


ベッドにうつ伏せで寝ころんだまま、私は手元の赤い携帯をじっと眺めた。


メールを打って謝ろうと思ったものの。

なんだか、送信しちゃいけない気がして。


だって、もしお母さんといる時に私がメールを送ったら?


大翔君は、困ってまた嘘をつくかもしれない。


「姉ちゃん?」


ふいに、ドアの外から克也の声がした。


「何?」


うつ伏せのまま、気の無い返事を返す。


「宿題、ちょっと教えて」


そう言って克也は、算数の教科書とノートを持って私の部屋へと入って来た。

それを見て、私は自然と呟いていた。


「算数か……」


ほんの何時間か前に見た、同じ表紙の教科書。

彼がまだ小学生なんだっていう、決定的な証。
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