揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「そういえばさ……」


ふと、昼間の彼を思い出し。

教科書をパラパラと捲り始める克に、少し躊躇いながら声をかけた。


「え?何?」


分からない個所を懸命に探しながら、そう返してくる。


「大翔君のお父さんが亡くなってたって…知ってた?」


私からの突然の問いに、克也の顔は自然と上がってきて。

不思議そうに、私を見てくる。


「姉ちゃん、知らなかったの?」


やっぱり、克也は知ってたんだ。


「……今日、初めて知った」


「ふぅーん。まぁ、べらべら話すコトでもないし。俺はアイツが転校して来た時に聞いたけど、タメでも知らないって奴、結構いると思うよ?」


「それは、友達だからでしょ?」


だって、私は一応彼女なんだし。


「心配かけたくなかったとかじゃねぇの?アイツは、姉ちゃんより大人だからさ」


「……子供で悪かったわね」


そう拗ねた声を出しながらも、克の言う事も尤もで頷ける気がした。
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