揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「ごめん。やっぱ嫌だよね……?」


私の無言を誤解した彼は、少し悲しそうな顔でそう謝ってきて。

そんな彼に慌てて声を掛けた。


「あっ、違うのっ。そりゃあ、フリでも他の子の彼氏になるのはいい気分しないけど。でも、頼まれたんだから仕方ないよね。大丈夫、私は大翔を信じてるから。それより、気になったのはまどかさんの事なの」


「まどかさんの事?」


「うん。彼女は、私に大翔と別れろとは言わなかったの。カムフラージュのままでいてくれって」


大翔君の言う事を100%信じた上で言うと。


まどかさんは大翔君の事を男として好きで。

私が彼とつき合ってるって知ったから、自分が本命で私はカムフラージュなんだって嘘を教えたっていう事だよね。


でも、本命は自分だから別れてって言った方が早いと思うんだけど……。


「……由佳の方から離れてくようにする為かな?やみくもに別れろって言っても、由佳が俺を想ってくれてるままだったら、またヨリを戻すかもしれないし。由佳に俺の事を嫌いにさせて、自分から別れて欲しかったんだと思うよ」


「そっか……。だから、私に嫌いにさせるようにあんな事を言ったんだ」


冷静に分析してしまう大翔君は小学生なのにしっかりしてて。

私ってば彼より5つも上なのに、ホント頼りないなぁ。


「たぶんね。だから、あんなビデオまで由佳に見せたんだよ」


“ビデオ”という言葉に思わず反応してしまっていた。

私がビデオを見た事、大翔君も知ってるんだ。
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