揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「どうした?顔色悪いけど」


黙ったまま俯いてしまった私を心配して、彼が声を掛けてくれる。

だけど、私はどう答えていいのか分からなくて。


「ビデオの事?やっぱ、あんなの見せられたら気分良くないよね」


「ちがっ……」


そりゃあ、あのビデオはすっごく嫌だったけど。

今の私を苦しめてるのはそれじゃないから。


だけど、大翔君に先輩との事を打ち明ける勇気が無くて。

つい、言葉に詰まってしまう。


「不安な事があるなら何でも言って?俺、ちゃんと話すから。由佳の不安が無くなるまで、ちゃんと話すからっ」


そう言って、彼はもう一度抱きしめてくれた。

私を安心させるかのように、回す腕にぎゅっと力を込めて。


嬉しいのに。

このぬくもりも、彼の気持ちも。


すごく嬉しいのに、素直に喜べないのが悔しくて。


彼の左肩に、ポタッと涙を零してしまっていた。

一度流れ出した涙は、なかなか止まってはくれない。


「由佳」


そっと私から体を離し、彼は私の涙を拭ってくれて。

それから…唇を近付けてきた。
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