揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
次の瞬間。

私は、大翔君の胸を全力で押し返していた。


倒れはしなかったものの、彼はひどく驚いた顔をして私を見ている。


「何で……?」


いつもなら嬉しいはずの、大翔君とのキス。

だけど、私は弘登先輩としてしまったから。


何事も無かったような顔をして彼とキスなんてできない。


「ごめんっ」


いたたまれなくなり、私はベンチから立ち上がった。


「由佳?どうした?」


「来ないでっ」


立ち上がろうとした彼を慌てて言葉で制し。

振り返る事無く、そのまま私は走り出していた。


彼を拒んでしまった事を申し訳ないと思いつつ、どうしても自分が汚れてる気がして。

逃げ出して…しまったんだ。


彼に拭ってもらった涙は更に量を増して。

家に向かって走り続ける私の、頬から髪へと向かって流れて行った。


ごめんね、大翔君。

ホントに…ごめんね。
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