揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「お菓子とかも全部こんな感じなのよ。いろいろな所に行ってるはずなのに、どれも映画村で買ったのばっかり」


呆れた口調でそう呟き、お母さんは軽く溜息を吐いた。

その横で当の本人は、楽しそうにお土産を並べては何かしらぶつぶつ言っている。


そんな克也を見ていたら、ふと大翔君の事を思い出した。


ケガをして先に帰って来たって言ってたっけ。

ケガの話や修学旅行の話、全然できなかったな……。


誰かをケガさせたらから恋人のフリをしなくちゃいけない、って話もろくに聞けなかったし。


連絡を取らなかった一週間の間に。

私にも彼にもホントにいろいろな事が起きていた。


ホントは、もっともっと話をしたかったのに。


「よしっ、とりあえず部屋に持ってくわ。運ぶの手伝って」


机の上に並べたお土産を紙袋にどさっと詰め込むと、克也は私に向かって差し出してきた。

いきなりでキョトンとしていると、もう一度グイッと突きつけてくる。


「えっ?私、今からご飯食べるんだけど」


克也とお母さんは食べ終わったみたいだけど、私はまだだから。

だけど、何故だか克は手を引っ込めてくれない。


「持ってってあげなさいよ、由佳。どうせ今からハンバーグ焼くから」


そう言ってお母さんは、私の肩をポンッと叩いてキッチンへと向かって行き。

私の分のハンバーグを焼く準備をし始めた。
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