揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「しょうがないなぁ」


どうせ、制服も着替えたかったし。

渋々だという事をアピールしながら、私は目の前の紙袋を受け取った。


「さっ、早く早く」


何を急いでるんだか、克也はボストンバッグを手にするとリビングを出て行ってしまい。

私も自分の荷物と共に紙袋を持って、克也の後を追うことにした。


「姉ちゃん、そのまま部屋まで持って来て」


階段の下に行くと、既に昇り終えた克也が手招きしている。

軽く溜息を吐き、私は重い足取りで階段を昇って行った。


「話があるんだよ」


小声でそう言うと。

昇り終えたばかりの私の腕を引っ張って、克也は自分の部屋へと私を連れて行った。


引きずられるようにして部屋に入ると、アイツはパタンッとドアを閉めて。


「姉ちゃんさぁ、大翔と連絡取った?」


荷物をドサッと床の上に置き、小声でそう尋ねてきた。

私も荷物を置くと、とりあえずベッドへと腰を下ろす。


「連絡もらって、さっき会ってきたよ」


珍しく真顔の弟を見上げながら答えると、克也は急に顔を強張らせて。

ごくりと唾を飲み込むと、恐る恐る言葉を続けた。


「篠原さんの事…聞いた?」


篠原さん……?

その名前に聞き覚えは無かった。
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