揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「とにかく、しばらく野球は無理らしいからさ。明日の試合も大翔抜きでいくみたいだし。でも、それより篠原さんのが問題だよ。大翔の事しか分かんねぇらしいし」


「先生とか親とか友達は?」


そう尋ねると、克也は黙ったまま首を横に振って。

そのまま真顔で私を見返し、


「ホントに、大翔の事しか分かんねぇんだよ」


と、もう一度告げてきた。


誰も分からないのに、大翔君の事だけ分かるって事?

しかも、恋人だって思ってるんでしょ?


それって、大翔君をすごく好きだって事だよね……?


何だか、凄く不安になってきた。

大翔君が私のトコロに戻って来てくれるのかどうか。


頼まれたならしょうがないって思ってたけど、それっていつまでなの?

その子の記憶が戻るまで?


じゃあ、もし記憶が戻らなかったら?

大翔君はずっとその子の彼氏でいるっていう事?


まどかさんも彼女との付き合いを認めてるみたいだし。

それって、私の代わりにカムフラージュの存在になるっていう事なんじゃないの?


考えれば考えるほど、不安がどんどんと押し寄せてくる。

ホントは彼に懇願するべきだったんじゃないだろうか?


「彼氏のフリなんてやめて!」と。
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