揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「もしかしたら、その篠原さんって子と会うのかも」


「えっ?そうやって言ってた?」


「はっきりとは言ってないけど……」


改めて聞かれると、不安になるけれど。

でも彼の様子を思い浮かべると、そんな感じがして仕方ない。


「まぁいいや。明日は県大会だから試合遠くでやるんだけど、姉ちゃん観においでよ。大翔にも来るように電話しといてやるし」


「えっ、でも……」


大翔君は、篠原さんと会うんじゃないの?

ケガして試合にも出れないわけだし。


「篠原さんと会うなら、2人で来ればいいし。とにかく、姉ちゃんはちゃんと2人に言いなよ」


「うん……」


ちゃんと2人に気持ちを伝えるのが、本当はいいのかもしれない。


大翔君には、私だけの彼でいて欲しい事を伝えて。

その篠原さんには、私が本当の大翔君の彼女だって事を伝える。


だけど、そんなにうまくいくのかなぁ?

記憶の無い彼女が、素直に納得してくれるとも思えないし。


「大翔を手放したくなかったら、ちゃんと気持ち伝えろよ?変に遠慮したら、ぜってぇ後悔するからなっ」


恋愛オンチなはずの克也なのに、私の不安な胸中をしっかり読まれていたみたいで。

力強い克の後押しに、不安に包まれていた私の心が少しずつ解きほぐされていく。


そうだよね。

ここで大翔君を手放してしまったら、絶対後悔するよね。


「……ありがと、克也」


「なっ、何か気持ち悪いよっ。姉ちゃんが素直に礼言うのって、怖いしっっ」


……これがなけりゃ、いい弟なんだけどね。
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