揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「由佳さんも、良かったらお昼一緒にどう?」


まどかさんは、歩き出した俺達を無視して由佳に声を掛けていた。

由佳の戸惑う様子が、ここからでも良く分かる。


「あっ、私…両親が向こうで待ってるんで」


俺達とは反対の方を指差し、由佳はそう答えた。


「そうなの?それは残念」


何か…企んでたんだろうか?

何にせよ、彼女がおじさん達と一緒で良かった。


「じゃあ、私はこれで……」


そう言ってこっちに背中を向けた由佳を、何か思い出したようにまどかさんが呼び止めた。


「そういえば由佳さんっ、ちょっと聞きたいんだけど」


その声に、由佳はゆっくりとこっちを振り返った。

その顔は何かに怯えるように引きつっている。


「あなたのお父さんって、小早川建設の系列会社にお勤め?」


「えっ?あ、はい……」


いきなりの質問に、由佳はまどかさんの真意が読み取れず。

とりあえず、そう返事をしていた。


だけど、俺にはピンとくるものがあった。


小早川建設。

それは…まどかさんの父親の会社だから。
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