揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦

chapter30

試合は、うちのチームの圧勝に終わった。


公輝のホームランや、春也の完璧なピッチング。

それに、みんなが必死に守って、打って、走ってくれたから。


とりあえずこれから先、俺が出場できる可能性がまた高まった。



由佳とは、あれ以来言葉を交わしていない。


思いの外たくさん応援が来ていて、座った席も随分と離れていたし。

向こうが両親と来ていたっていうのもあるけれど。


問題は、まどかさんだ。









「……調べたの?」


試合が終わり、俺達は地元へと戻った。

篠原さんを家に送り届け、俺達はマンションへと帰っている。


コーヒーを用意しているまどかさんに、俺は意を決してさっきのように尋ねたんだ。


「調べる?何を?」


カップに淹れたてのコーヒーを注ぎながら、彼女はわざとらしく聞き返してくる。

香ばしい香りを楽しむ余裕も無く、俺は彼女に問い詰める。


「由佳さんの事。父親の勤務先まで調べてどうするつもり?」


「別に。ただ、彼女も父親がいきなりリストラや左遷されたら大変だろうなぁって思って」


「……何だよそれ?」
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