揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「しかし、びっくりしたよ。まさかうちの学校に君が来るなんてさ」


そう言って微笑を浮かべながら、元カレはベンチへと向かって歩き出した。

俺もそれに続いて歩き出す。


「どうしても、今日中に会って話したかったんで」


明日、由佳に別れ話をする前に。

どうしても、この人と話をしておきたかったんだ。


「……由佳の事?」


隣を歩く俺を見下ろしながら、元カレが静かにそう尋ねてきて。

とりあえず俺は、ゆっくりと頷き返した。


「まぁ、俺と君の共通点ってそこだしね。とりあえず、座ろっか」


ベンチの前に辿り着くと、そう言って彼は先に腰を下ろした。

少し距離を空け、俺も隣に腰を下ろす。


「それで?」


彼の口調は、いつも大人の優しさに溢れていて。

恨んでるはずの俺にさえ、こんな紳士な態度を取れるのは…正直凄いと思う。


「頼みが…あるんです」


だからこそ、由佳はこの人とつき合ったんだろうし。

俺も…こうして頭を下げる決心をしたんだ。


「頼み?」


「えぇ。由佳を…あなたにお願いしたいと思って」
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