揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「実は私もね、由佳に報告あるんだ」


少し照れくさそうに言う沙希は、下を向いてストローをぐるぐると回し続けていて。

どんな報告なのかと、私は黙ったまま彼女の言葉を待った。


「金曜はお互いバイト入ってなかったから、純平と学校帰りに会ったの。その時にね、打ち明けたんだ。私の初めての相手が弘登先輩だった事を」


「えっ……?」


一瞬、言葉に詰まってしまった。

だって、それはあまりにも衝撃的過ぎて。


純平君が弘登先輩の友達だって知った上で、彼に全てを伝えたって事だよね……?


「ずっとね、悩んでたの。先週ここで弘登先輩に会ってから。だけど、私はこれからも純平といたいから。だから、思い切って打ち明けたんだ」


未だ目を合わせ辛そうな沙希から、視線をレジにいる純平君へと移した。

彼はいつものような爽やかな笑顔で仕事をしていて、とても自分の彼女と親友の過去を知ったようには思えなかった。


「純平君は……?何て言ったの?」


「とりあえず、話してくれてありがとうって。あと、大切なのは今だから気にするな、って」


そして、沙希はゆっくりと顔を上げた。

その表情は、どこかホッとしたような感じで。


うっすらと涙が溜まっているようにも見えた。


「良かったじゃん、沙希」


もっとうまい言葉を掛けてあげたいのに。

そんなありきたりなモノしか出てこない自分が、つくづく嫌になる。


きっと、沙希はずっと悩んでたんだと思う。

弘登先輩が純平君の友達なんだって知ってから。
< 275 / 337 >

この作品をシェア

pagetop