揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「まさかさ、あんな一晩限りの相手と4年ぶりに会うなんて思ってなかったし。しかもそれが、今カレの友達だっていうじゃん。なんかさぁ、ドラマじゃないんだから!って感じじゃない?」


努めて明るく言ってるのは、もう吹っ切れたからだって思ってもいいのかな?

でも…それはやっぱり、純平君の存在があるからなんだよね。


現実とちゃんと向き合って、沙希は純平君と一緒に前に進んでる。


私は?

私達は?


大翔君の過酷な人生を受け止めて、一緒に進めてる?


「また会ったね」


ふいに声を掛けられ、私達はその声の方へと顔を向けた。

そこにいたのは…よりにもよって、弘登先輩だった。


「先輩……」


噂の張本人の登場に、私はとっさに沙希の顔色を窺った。

引きつった顔で、気まずそうな表情を浮かべている。


「隣、いい?」


空いたばかりの右隣の2人掛けの席。

私の並びの席に、先輩は腰を下ろした。


テーブルの上にはモカフラぺチーノが置かれてるから、レジを済ませてるって事だよね?


私は、チラッと純平君の方へと視線を送った。

この状況を彼がどう思ってるのか知りたくて。


そして彼も、離れてはいるもののこっちへと顔を向けていて。

私と目が合うと、優しい笑顔でこくんと頷いてくれた。
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