揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「そういえばさ、由佳ちゃん」


思い出したようにそう言葉を発すると、先輩は私の方へと身体を向き直した。

何事かと思いながら、じっと待っていると……。


「今日緑ヶ丘に、由佳ちゃんの彼氏が来たよ」


そう、告げられた。


緑ヶ丘っていうのは、私達の高校で。

そこに大翔君がいたっていう事……?


「えっ?何で?」


大翔君は、今日は篠原さんと会うって言ってたはずなのに。

私に会いに来たとしても、学校に行くのは…何かおかしいよね?


「今日、緑ヶ丘でバスケ部練習試合やってたんだよ。俺も見に行ってたんだけど、試合終わったら由佳ちゃんの彼氏がいてさ。どうやら真吾を待ってみたいだけど」


「真吾を……?」


何で、大翔君が真吾に会いに行くの?


どんどんと疑問が膨らんでいく。

だって、2人が会う理由が見つからない。


「それにしても、諒斗に聞いてびっくりしたよ。まさか彼氏が小学生だったなんてさ」


弘登先輩には彼氏が小学生とは言ってなかったんだ、って今更気付いて。

とりあえず、あははと作り笑いを返してみた。


「でも、彼氏って今日は予定があるんじゃないの?」


沙希には、大翔君と今日は会えないんだって事は話してある。

だって昨日の彼からのメールには、篠原さんと会うからゴメンってあったから。


なのに、どうして真吾に会いに行ってるの?

どうして、私に嘘をついたの?
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