揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「……ごめん、やっぱ何でもないわ」


一瞬、硬い表情を見せていたものの。

そう言って笑った先輩は、いつもの明るさを取り戻していて。


私と沙希は、そんな先輩をただじっと見ていた。


「由佳ちゃんはさ、あの彼氏で幸せ?」


そう言って、先輩はゆっくりと立ち上がり。

飲みかけのカップを右手で掴んだ。


「えっ?」


いきなりの質問に、私は咄嗟にうまく言葉が出なかった。


「幸せです」って胸を張って言えばいいのに。

何だか素直に言えない自分がいて。


「年の差とかさ、俺は別に気にしなくていいと思うよ」


ポンッと私の頭を軽く叩くと、


「じゃあ、またね」


そう言って軽く手を振り、先輩は店を後にして行った。


何かあっという間で、私は何も言えないまま見送るだけで。

先輩の後ろ姿を見ながら、さっきの言葉の意味を考えていた。
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