揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦

chapter33

「由佳、ちょっと話あんだけど」


そして、月曜日の朝。

席で沙希と昨日のカラオケの話をしていたら、教室に入って来たばかりの諒斗にそう声を掛けられた。


見ると、顔つきが結構真剣で。

とても断れる雰囲気じゃなかった。


「あ、うん……」


何の話かよく分からないまま、鞄を置いた諒斗の後に続いて教室を出て。

黙ったままずんずんと歩いて行くアイツの背中を見ながら、廊下奥の教材室の前まで来ていた。


「昨日さ、バスケの試合がうちの学校であったんだけど」


ふいにこっちへと身体を向けると、諒斗はちょっときつい口調で話し始め。

その言葉で、何の話なのかは大体見当がついた。


大翔君の…事か。


「ガキんちょがさ、来たんだよ。真吾に会いに」


諒斗の眼差しは、どこか窺っているようだった。

私がその事について知ってるかどうかと。


「実はね、昨日たまたま弘登先輩に会ったの。だから、大翔君がここに来たっていうのは聞いてるんだ」


「はぁっ!?お前、まだ先輩と……」


「違うってば!たまたま会っただけだって。沙希も一緒だったし」


誤解してそうな反応を見せた諒斗に、慌てて私は説明をした。

先輩との事を知ってるだけに、諒斗の目付きが一気に鋭くなっている。


「それで、先輩は何て言ってたんだよ?」


「とりあえず諒斗と一緒で、大翔君が来たんだって事を教えてくれて。真吾と彼が何か話してる間に、篠原さんと諒斗と3人でジュース飲んでたって……」


昨日の会話を思い出しながら、憶えている事を口に出していく。

その間、諒斗はじっと黙って聞いていた。
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